薄毛・AGAの治療薬とは/おもな種類とその効果、副作用などを解説
薄毛を何とかしたい!と思った時、強い味方になってくれるのが治療薬。なかでもAGAの薄毛治療には投薬が最も効果的だといわれ、飲み薬(内服薬)や塗り薬(外用薬)が治療の中心になっています。しかし、「薬はどこで入手すればいいの?」「AGAの治療薬は、副作用があると聞いたけど…」など、疑問や不安をかかえている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、薄毛やAGA治療に使用されている治療薬のメリットやデメリット、そして入手する時の注意点などを専門家がご紹介します。
目次
薄毛治療の薬には、どんなものがある?
「5α還元酵素阻害薬」とは?
ちょっと名前は難しいですが、最も一般的なAGA治療薬。5aは5aリダクターゼという酵素を指しています。どんなものなのか、以下でご説明しましょう。
AGA脱毛症は、下のようなメカニズムで起こることがわかっています。
- 毛髪の細胞内にある酵素「5aリダクターゼ」が、男性ホルモンのテストステロンに作用
- テストステロンが、より強力な男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)に変換される
- ジヒドロテストステロンが、毛髪の元になる毛母細胞の活動を妨げる
- 髪の正常なヘアサイクルが乱れ、髪の成長期が短くなる
- 髪の毛が成長しきれないまま抜け落ちるようになり、薄毛になる
テストステロン自体は、もともと体内にある男性ホルモンで、筋肉増大や骨格の発達などに関与します。カラダに必要な物質であり、それ自体が脱毛を引き起こすものではありません。つまり、AGAの根本的な原因は、テストステロンをジヒドロテストステロンに変化させる5αリダクターゼにあります。この5aリダクターゼの作用を妨げ、脱毛を食い止めるのが「5α還元酵素阻害薬」です。
5aリダクターゼにはI型・Ⅱ型の2種類があり、薄毛に頭頂部が薄くなる/生え際が薄くなる といった特徴がみられる場合は、Ⅱ型の5aリダクターゼが作用していると考えられます。
現在、日本で認可を受けている「5a還元酵素阻害薬」には、下のような種類があります。
名称 | 有効成分 | 含量 | 5a阻害効果 | 販売元 | 発売年 | 価格/1ヵ月分※ |
---|---|---|---|---|---|---|
プロペシア錠 | フィナステリド | 0.2mg 1mg |
Ⅱ型 | MSD | 2005年 | 7,000円(税別) |
プロペシア錠 (ジェネリック) |
フィナステリド | 1mg | Ⅱ型 | ファイザー 沢井製薬 他 |
2015年~ | 6,000円(税別) |
ザガーロカプセル | デュタステリド | 0.1mg 0.5mg |
Ⅰ型 Ⅱ型 |
グラクソ・スミスクライン | 2016年 | 10,000円(税別) |
※Dクリニック参考価格(2019年6月時点)
「プロペシア錠」は日本国内で最も早く認可発売され、安全性と効果で高い評価を得ている内服薬です。
有効成分である「フィナステリド」には、日本人のAGAの原因に多いⅡ型の5aリダクターゼを阻害する働きがあり、服用した98%の患者様の薄毛が進行しなかった、という臨床データが報告されています。
2015年からは各製薬会社がジェネリック医薬品を販売、治療する方の費用負担が抑えられるようになりました。
※プロペシア錠についてさらに詳しく知りたい方は、プロペシア錠とはをご覧ください。
「ザガーロカプセル」は、2016年に発売された、日本で最も新しい認可薬です。有効成分であるデュタステリドは、I型とⅡ型の5aリダクターゼを阻害してくれます。フィナステリドに比べて有効成分が血中に長く留まるため、さらに高い効果を発揮してくれます。
※ザガーロカプセルについてさらに詳しく知りたい方は、ザガーロカプセルとはをご覧ください。
【5α還元酵素阻害薬の注意点】
- AGA脱毛症にのみ効果がある
AGA脱毛症の治療には高い効果を発揮しますが、それ以外の脱毛症には効果がありません。 - 副作用が起きる可能性も
プロペシア錠(フィナステリド)・ザガーロカプセル(デュタステリド)のどちらも、数としては多くないものの、リビドー減退(性欲減退)・勃起機能不全・肝機能障害などの副作用例が報告されています。自分の体質にあった種類や含量の治療薬を選ぶことが大切です。
※副作用についてさらに知りたい方は、AGA治療薬による副作用はどんなもの?をご覧ください。 - 女性や小児は使用できない
妊娠中の女性が服用すると、男性胎児の正常発育に悪影響を及ぼします。経皮吸収されるため、直接触ることも避けてください。
発毛剤とは?
脱毛部に直接塗布して血行を促進し、発毛や髪の成長を促す外用薬です。発毛成分にはいろいろな種類がありますが、中でも、発毛で高い効果が認められているのがミノキシジル。毛包に直接作用し、毛母細胞の分裂やタンパク質の合成を促すとともに、頭皮の血行促進によって乱れたヘアサイクルを正常化してくれます。日本皮膚科学会のガイドラインで、推奨度A(強く勧める)という評価を与えられているのはミノキシジルだけ。(※1)男性ホルモンに作用する「5a還元酵素阻害薬」とは異なり、AGA以外の脱毛症や女性の薄毛にも有効です。
※ミノキシジルについてさらに詳しく知りたい方は、ミノキシジルについてをご覧ください。
医療機関では、医師が症状や頭皮の状態を診断し、適切な濃度のミノキシジルを処方します。また、頭皮状態の改善に有効な他成分と合わせた薬剤を処方されることもあり、料金は医療機関によって異なります。
また、ミノキシジルを配合した発毛外用薬が、一般用医薬品(OTC薬品)として発売されています。 第一類医薬品という分類で、医師の診断を受けなくても、ドラッグストアで購入することが可能です。 ※ご購入後は必ず添付文書等をよくお読みいただいた上でご使用ください。
名称 | 有効成分 | 含量 | 5a阻害効果 | 販売元 | 発売年 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
リアップ | ミノキシジル | 1mg | 大正製薬 | 1999年 | 120mL 60mL |
9,500円(税別) 5,500円(税別) |
リアップX5プラス | ミノキシジル | 5mg | 大正製薬 | 2015年 | 60mL | 7,048円(税抜) |
スカルプD メディカルミノキ5 |
ミノキシジル | 5mg | アンファー | 2018年 | 60mL | 7,800円(税込) |
リグロEX5 | ミノキシジル | 5mg | ロート製薬 | 2018年 | 60mL | 7,560円(税込) |
ミノアップ | ミノキシジル | 5mg | 東和薬品 | 2018年 | 60mL | 7,048円(税抜) |
※価格:各社公式ショップ調べ(2019年6月時点)
【発毛剤(ミノキシジル)の注意点】
- 接触性の副作用に注意
多くの塗り薬に見られることですが、使用部分のかゆみ、発疹、皮膚炎、紅斑などが出る場合があります。また、めまいや頭痛、動悸、血圧低下なども、少数ですが報告されています。 - 男性と女性では、適切な濃度が違う
日本皮膚科学会のガイドラインでは、比較試験に基いて安全性を考慮し、男性型には濃度5%、女性型脱毛症には濃度1%のミノキシジルを推奨しています(※1)。男女での共用は避けましょう。
AGA治療には、どの薬が最適?
とにかく薄毛の進行を止めたいなら、5α還元酵素阻害薬を使用しましょう。より早く発毛を実感したいなら、発毛剤の併用をお勧めします。
AGAの治療では、まず第一に脱毛を止めることが何よりも大切。いくら発毛対策をしても、せっかく生えた髪はまた育たないまま抜け落ちてしまうため、時間とお金の無駄になります。
まずはプロペシアやザガーロなどの「5α還元酵素阻害薬」で、AGAの原因そのものを取り除きましょう。ヘアサイクルが正常になれば、成長期の髪が増えて抜けにくくなり、一本一本の髪も太く丈夫になっていくため、目に見えて髪の毛が増えていきます。
ただ、AGAになった毛母細胞は発毛機能が低下しているため、AGAの原因が取り除かれても、次の発毛までに時間がかかってしまうかもしれません。それを後押ししてくれるのが、発毛を促進する発毛剤。AGAをなるべく早く改善したい!という方は、5α還元酵素阻害薬と発毛剤を併用するとよいでしょう。
また、AGAでない場合も、ミノキシジルの発毛剤は薄毛に効果を発揮します。生活習慣の乱れやストレスなど、疾患を原因としない薄毛であれば、原因の改善を行いながら、発毛剤を使用するとよいでしょう。
いずれの治療薬も、効果を実感するまでには3~6ヶ月は継続して使用する必要があります。万が一効果が見られなかった場合は、医師に相談してみてください。
※詳しく知りたい方は、AGA治療は効果がない?をご覧ください。
薬はどこで手に入れればいいの?
頭髪専門外来のある医院などで、薄毛の原因を調べた上で処方してもらいましょう。市販の発毛剤を併用する場合も、医師に相談すると安心です。
プロペシア錠やザガーロカプセルは、医師の処方が必要な薬剤。正しく使えば高い効果を発揮しますが、自己判断で使用すると、効果が感じられなかったり、高いリスクを伴う危険性もあります。また、体質によって治療薬が効きにくい可能性があるほか、効果を実感するまでの期間にも個人差があります。頭髪専門外来などでしっかりと診察や検査を受け、投薬時も常に改善状況や体調を見てもらうようにしましょう。
また、発毛剤のミノキシジルも、もちろん医院で処方してもらうことが可能。こちらも体質や皮膚の状態に合わせた濃度のものを処方してもらえます。市販されている一般用医薬品を併用する場合も、医師に相談しながら使用していけば、皮膚のトラブルなどを抑えて治療できる可能性が高くなります。
※Dクリニックでは、AGA治療薬の処方を行っています。
通信販売の薬は買ってもいいの?
海外の輸入代行サイトなどでよく販売されている薄毛治療薬。手軽に買え、比較的安価であることから、利用される方も増えています。
・おもな通販販売品
【5α還元酵素阻害薬】フィンペシア、ディルミノックス、デュプロスト、アボダート など
【発毛剤】ミノキシトップ、ツゲイン など
これらは、日本人の体に合わせた処方ではないため、必ずしも効果が保障されているわけではありません。また、有効成分の濃度や配合物によっては、重篤な副作用が出る場合もあります。そして偽造品も数多く販売されており、健康被害の報告が多く寄せられています。安全・確実に薄毛治療を進めるためにも、処方薬や一般用医薬品の使用をお勧めします。
Dクリニックでは無料カウンセリングを行っています。薬の使用について不安を感じている方も、どうぞお気軽にご利用ください。
参考
※1 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
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AGAの原因そのものをブロックして脱毛を食い止める「5α還元酵素阻害薬」(内服薬)と、毛包の活性化・血行促進で発毛をうながす「発毛剤」(外用薬)の2つがあります。