AGA進行のカギを握るのは、疾患・遺伝・嗜好？ 1万人超のデータ分析から判明した、思わぬ可能性

多くの男性を悩ませているAGA（男性型脱毛症）。このAGAによる抜け毛・薄毛の進行が、思いもかけない要因に左右されているとしたら…？　Dクリニックの調査により、AGAの進行と疾患・遺伝・嗜好について、興味深い関連性が明らかになりました。

Dクリニックでは、20年間の診療実績に基づいて蓄積された、男性AGA患者の問診票・電子カルテ238,197件から約10,000件のデータを抽出。問診票や電子カルテの質問内容とAGAの進行状況をひもづけ、AGAの要因分析を行いました。

その結果は…

疾患高血圧をはじめとする、生活習慣病が関係？

最も高い値を示したのは、「高血圧の既往歴」。高血圧の既往歴のある方にAGAが進行している傾向が見られました。AGAと高血圧症の関係については、これまでにも多くの論文で報告されてきましたが、相関関係を示しているものばかりで、どちらが原因でどちらが結果なのかわかりませんでした。しかし今回の調査では、因果関係を明らかにしている因果推論を行っていることから高血圧はAGA進行の進行に影響を及ぼす可能性を示したことになります。また、「健康診断で異常を指摘された」という因子を持つ方にもAGAの進行に関係があることから、高血圧を含む生活習慣病はAGAの進行に、深い関連があることが考えられます。

遺伝やはり遺伝は関係が深い。家系を知ることが早期治療につながる？

父、叔父・叔母、祖母など、「家系に薄毛の方がいる」という項目が、上位4つに挙がる結果に。昔からAGAは遺伝すると言われてきましたが、改めて遺伝的な素因がAGAの進行に強く関係していることが明らかになりました。

嗜好喫煙・飲酒は想定通り。“健康的”な飲食物に、思わぬ可能性が

嗜好品であるたばこやお酒も、昔からAGAを進行させるという報告がありました。この分析により、やはりAGAの進行に影響を及ぼす可能性があることが示唆されました。また、「中国茶」「紅茶」「くだもの」といった、健康のために摂っている方も多いと思われる飲食物について、想定外の数値が出る結果となりました。

運動定期的な運動は、AGAの抑制に効果的？

項目の中ではただ一つ、「スポーツをしている」が、AGAの進行遅延に有意な数値を示しました。定期的な運動は、AGAの進行予防につながる可能性があることを明らかにしています。

今回の調査では、長らくAGAと関連があるといわれていた「疾患」「遺伝」「嗜好」があらためて数値で裏付けられたと同時に、今までの研究では報告が見られなかった「中国茶」「紅茶」「くだもの」といった新たな因子との因果関係が浮かび上がってきました。今後はこれらの新しい因子をより細分化し、頻度・摂取量など精緻な調査を行い、さらなる解明をしていきます。

この研究が進み、AGAの治療を妨げる飲食物などを明らかにすることで、より効果的なAGA治療が実現する可能性があります。220万人の治療実績^※を持つDクリニックは、患者様との信頼で培ってきたビッグデータを最大限に活かし、これからも研究を進めてまいります。

• ※  1999年～2019年6月のDクリニックの延べ患者数

【分析方法】　今回の調査では、因果関係を明らかにする「因果推論」という多変量解析を行いました。
AGAの進行状況を示した「ハミルトン・ノーウッド分類」に基づき、患者様のタイプをI～Ⅶに分類。
Ⅰ…薄毛が発症していない状態
Ⅶ…側頭部・後頭部にのみ毛髪が残っている状態
数字が大きいほど、AGAの進行度合いが大きいことを表しています。

問診票・電子カルテの各回答項目と患者様のタイプをかけ合わせ、進行度が大きいほど（グレードが高いほど）、因子がAGA進行の原因になる可能性が高いと想定し分析を行いました。